強相関電子系における時間反転対称性の破れたカイラル超伝導状態を調べる2つの実験方法を提案し、その装置開発及び候補物質における測定を行った。1つは走査型磁気プローブ顕微鏡を用いた高分解能磁場分布測定であり、もう1つは極低温精密磁場侵入長異方性測定である。前者については、微小ホール素子およびSQUIDを用いた装置の立ち上げがほぼ完成し、カイラル磁性体における測定に成功した。後者については、30ミリケルビンまでの測定が可能となり、ウラン化合物においてカイラル超伝導状態で期待される温度依存性を得た。また、鉄系超伝導体FeSeの双晶境界近傍におけるカイラル超伝導の出現という予期せぬ結果も得られた。
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