本研究では、2価のPdイオンを含む非磁性半導体にドープによって生じたキャリアが、4価のPdイオン由来のホールペアと見なせるかどうかを実験的に調べ、超伝導の兆候を探索した。さらに磁性イオンをドープすることによって、スピンギャップレス半導体と呼ばれる電子相の創成を試みた。 CaPd3O4系においては同型の銅酸化物CaCu2.4Pd0.6O4を合成できた。さらに電子ドープに成功し金属化まであと一歩に迫った。またPb0.9Ag0.1Pd0.9Ni0.1O2において、強磁性の寸前のような巨大な常磁性状態を見出した。 これらの成果はPd酸化物の物性物理や固体化学への理解の深化に貢献したものである。
|