研究課題
本課題「新構造124型希土類化合物の開発と超高圧下新量子相の探索」では、新しい結晶構造を持つ希土類化合物群に関連してさらなる物質開発と、これまでにないような量子相の探索を行う事を目的としている。また、これまで開発してきた17万気圧級超高圧技術をさらに発展させ、新化合物系に対して超高圧下相図作成を迅速に行えるプローブシステムの開発も行うことも目的とする。初年度となる該当年度では、代表物質YbCo2Ge4の大きなイジングスピン(有効磁子数が5.5ボーア磁子)に由来する量子臨界物性の詳細な研究と関連物質の開発を行ってきている。前者としてまず圧力ー相図作成をキュービックアンビル装置を用いた2K以上の温度の電気抵抗測定で完成させた。その結果、Yb系の量子臨界物性で正に期待される高圧下磁気相転移を発見している。さらに、ピストンシリンダー装置を用いた2KまでのCo-NQR実験では、2.5GPa付近でスピン格子緩和率の温度依存性の特性温度が0K程度になることを見出した。今後、より低温下の相図作成により量子臨界点の正確な場所を決定すること、微視的な測定により磁気構造及び量子臨界的な磁気ゆらぎの特性を明らかにしていく予定である。さらに、大阪大学、Spring8との共同研究により、X線吸収・光電子分光測定により価数を決定したことが学会等で発表しており、ドイツAugsburg大学との共同研究により磁気グリュナイゼン数がT/Bスケール則を満たすことなどを明らかにしている。
2: おおむね順調に進展している
研究代表者・研究分担者共に昨年に異動したため混乱があったものものの、共同研究を含めると順調に進展していると思われる。主要論文である本課題の新物質報告論文(arXiv:1407.8274)は一度目の再投稿の後現在査読中であり、YbCo2Ge4の共同研究に関する論文も1件査読中である。高圧装置開発に関係する発表を含めると学会発表は概ね順調にこなしてきていると考える。
研究代表者・研究分担者共に、超高圧装置を用いたNMR・バルク測定システムの異動先での整備を完了したため、今後は関連物質系の極低温度域での基礎物性評価・NMR測定を意欲的に進める。
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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/takagi_lab/kitagprofile.html