研究課題/領域番号 |
15K13523
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北川 健太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 講師 (90567661)
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研究分担者 |
松林 和幸 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10451890)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 強相関電子系 / 超高圧 / 重い電子系 / 新物質開発 / 量子臨界現象 |
研究実績の概要 |
本課題「新構造124型希土類化合物の開発と超高圧下新量子相の探索」では、代表者らが発見した124型新構造を持つ化合物の重い電子状態・非フェルミ液体状態と超高圧下物性の解明を主な目的とする。 2年目となる平成28年度は、前年度に引き続き新物質YbCo2Ge4の超高圧下物性を探索中である。3GPa付近の磁気秩序相と思われる相転移出現圧力において希釈冷凍機温度まで電気抵抗測定を行ったが、今のところ超伝導性発現は確認できていない。一方、59Co-NQR/NMR測定により高圧下秩序相の詳細を明らかにするために、超高圧下NMR用希釈冷凍機の開発を行っている。圧力セルを磁場中で2軸回転制御することと常圧下NMR実験にも共用するために、回転機構全体が3He希釈相に浸かる特殊な構造である。分留器と熱交換器以外の動作確認は終了し、2点の詳細設計も終了し組み立て段階にある。本年度中に希釈冷凍機温度の超高圧NQR/NMR測定が可能になる予定である。 大阪大学、Spring8との共同研究として、基底状態の軌道決定とYb価数の温度依存性測定の為にX線吸収・光電子分光測定が進行中である。 代表者らが開発してきた試料室体積が大きい10GPa超級対向アンビル型超高圧装置に関して、電気抵抗・ゼーベック係数・超強磁場NMR測定への技術支援または装置支援として国内外の複数の研究者と共同研究しており、28年度は7件の学会発表(兵庫県立大、島根大、東工大、独シュツットガルト大など)がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は研究代表者と分担者共に研究室立ち上げが継続しており、YbCo2Ge4の超高圧研究に遅れがみられるものの、新物質と高圧装置技術に関して極めて活発な共同研究がなされているため、全体として概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
希土類化合物研究において極低温環境は必須である。現在代表者の東大高木・北川研に希釈冷凍機が存在しない為、本年度は上述の通りまず希釈冷凍機を整備し、ユニークな超高圧磁場中回転NMR・バルク測定を可能にする。その後、種々の124系、及び新物質系についての超高圧下物性を明らかにしていく。その他の新物質系としては、イリジウム酸化物、ルテニウム酸化物などのキタエフ型量子スピン液体物質を主な対象とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部分は、発注から納品まで長期を要する高圧装置部品の調達の為。また、前述した通り、装置開発関係の支出が平成29年度にずれたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は最終年度であるが、高圧装置部品と希釈冷凍機作成の消耗品で概ね過不足が生じない予定である。
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