本研究の目的は,陽子-電子質量比の時間依存性研究のための有力な候補であるCaH+の回転基底状態を生成し,その振動回転定数を実験的に決定することである.本研究ではその実現に必要な中赤外レーザーによる振動遷移励起と,紫色レーザーによる電子遷移励起を組み合わせたCaH+のレーザー誘起蛍光(LIF)観測系を完成させた.また,CaH+振動回転定数の決定において重要なCaH+の光解離反応の観測に波長帯283-287 nmで初めて成功した.本研究成果によって,光解離を用いたCaH+の電子遷移波長の測定が可能となり,LIF観測によるCaH+振動回転定数の測定へ向けて道筋をつけることができた.
|