円筒状の孔を多数有する高分子膜に交流電場を印加したときに、往復振動する電気浸透流が整流化される機構の解明を試みた。この非対称性は膜表面のゼータ電位の非対称性に起因しているが、本研究では流動電位測定において流体力学的半径および流路内のゼータ電位が水圧を印加する向きに対して非対称であることを見出した。そしてトラックエッチド膜のカウンターイオンとして蛍光色素イオンを導入し、共焦点レーザー走査顕微鏡によりカウンターイオンの分布を観察した結果、膜表面のゼータ電位が大きい側の孔では電気二重層が厚いことが見出され、この電気二重層による流路の非対称性が整流機構を生み出していると示唆された。
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