研究課題/領域番号 |
15K13556
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
太田 雄策 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50451513)
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研究分担者 |
木戸 元之 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (10400235)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リアルタイムGNSS / 姿勢把握 |
研究実績の概要 |
単一アンテナと慣性航法装置を用いたより消費電力の低いリアルタイム洋上部プラットホーム姿勢把握システムの開発のために,平成27年度は特に洋上におけるリアルタイムの位置把握を高精度に達成するための要素技術の開発を進めた.具体的には,(1) 太陽光発電のみで長期間安定可動するリアルタイムGNSSシステムの開発,(2) 単一アンテナと慣性航法装置を用いた位置把握アルゴリズムの開発,の2点を実施した.以下に詳細を示す. (1)超低消費電力のGNSSデータロガーを開発し,それらと既存のGNSSボードを組み合わせることによって,太陽光発電のみで長期間安定可動するリアルタイムGNSSシステムを構築した.開発したシステムは別予算で開発が進められている海底地殻変動の準リアルタイム観測のための係留ブイに実装され,平成27年12月から実際の海域において試験観測を継続している.当該システムはリアルタイム精密単独測位を静止衛星からの補正情報を用いて実施可能であり,さらに後処理でより精密な解析が可能なように搬送波位相データを含んだ生データを長期間にわたって記録可能な機能を備える.このようなデータを蓄積することによって,並行して本研究で開発している姿勢把握アルゴリズムの性能評価が可能な実地データを得ることができている. (2)単一アンテナと慣性航法装置で洋上部プラットホームの姿勢を把握するために,GNSSデータ中のドップラー観測量からブイの速度データを把握し,それらとGNSS位置情報の微分値を比較して,ドップラー観測量による移動体の速度把握の精度評価を行った.その結果,当初期待していたよりもドップラー観測量による移動体の速度把握精度がわずかに低く,GNSSデータに含まれるドップラー観測量の取り扱い方を再度検討する必要があることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終的に目標とする,単一アンテナと慣性航法装置を用いたより消費電力の低いリアルタイム洋上部プラットホーム姿勢把握システムの開発のために,平成27年度は低消費電力のリアルタイムGNSSシステムの開発および,MEMSジャイロを併合利用した姿勢把握システムのための要素技術開発を進めた.進捗はおおむね予定通りであるが,当初期待していたよりもGNSSによるドップラー観測量にもとづく移動体の速度精度が低く,その原因を明らかにすることが当面の課題である.これらの課題の解決を含めて平成28年度中には目標としているシステム開発を完了可能であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
単一アンテナと慣性航法装置を用いたより消費電力の低いリアルタイム洋上部プラットホーム姿勢把握システムの開発を目指し,平成27年度に開発した要素技術の高度化を進め,さらにそれらを統合利用することで目標とする姿勢把握システムの開発を達成する.また現在実海域で試験観測中のGNSSデータやMEMSジャイロデータ等を活用し,開発しているシステムによってどの程度の精度が達成できるかについて,定量的な評価を行う.また,別予算で開発を進めた精密可動台等も活用し,真値が分かる状態での試験を実施し,開発するシステムの包括的な精度評価を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定よりもGPSデータ記録装置等の価格が安価に調達できたため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
GNSS解析データの蓄積等に必要なデータメディア購入に使用する.
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