研究課題/領域番号 |
15K13558
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川勝 均 東京大学, 地震研究所, 教授 (60242153)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 海底地震計 / 広帯域地震計 / トモグラフィー / 地球内部構造 / 海底電磁気計 |
研究実績の概要 |
「太平洋アレイ(Pacific Array)」とは,十数台の海底広帯域地震計をアレイ一単位とした,海底地震計アレイによるアレイ観測計画である.海底広帯域地震観測技術の革新により,1-2年程度の観測により,アレイ直下の一次元地震波速度構造(異方性も含む)が,海水面からアセノスフェアの深度まで推定できるようになった.この技術革新により,広大な太平洋を効果的にカバーする観測計画の可能性が浮び上ってきた.太平洋下のマントル構造を実証的に解明し,1.5億年の太平洋下マントルのダイナミクス・発達史の解明を目指す研究の可能性が見えてきたことを意味する.本研究では,太平洋アレイを具体化するための様々なfeasibility studyを行う.
H28は前年度に引き続いて,国際学会等において太平洋アレイの構想を紹介し,国際的な研究協力体制の構築にむけて活動を行った.本計画に関する講演を行った主立った国際的研究集会は,EGU2016大会,Seismix2016大会(Keynote),AGU秋季大会(招待講演)などがある.また日本地球惑星科学連合(JpGU)大会において,関連セッションを主催した.米国の関連NSF Proposal(コロンビア大学ラモント地球研究所のGaherty教授らによる)にsupport letterを送付し支援を行った.国内の研究推進体制については,H28より採択された地震研究所共同利用「太平洋アレイ」を通じて,秋・春に研究会を開催し,協力体制を構築した.またH29年度の科研費に,韓国との共同観測研究を含む,Pacific Array観測開始のための申請を行った.
研究面においては,実体波,表面波の解析手法の検討を継続するとともに,広帯域海底地震計に対する,水圧計による補正の有効性を検討した.また地球深部科学としてのPacific Arrayの可能性の検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的に予定通り進行している.
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今後の研究の推進方策 |
地震研究所の共同利用研究の枠組も使いつつ,国内外の研究体制を構築していく. 国内では,H28に引き続き年1-2回の研究会を開催する.国際的には,Pacific Arrayを謳ったワークショップ等を開催し,研究体制の構築を進めていく.具体的には,JpGU後の5月26日に関連参加者とともに地震研究所でワークショップを開催したり,米国IRISの主催する海底観測の会議(2017年9月)に併せて,Pacific Arrayに関するワークショップを開催するなどを検討している.またION(International Ocean Network)の支援の元,推進組織を構築することを検討していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
論文等の投稿費がかからなかたことが要因として挙げられる.
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次年度使用額の使用計画 |
米国IRISが開催する海底地震観測に関するワークショップに参加すると共に,Pacific Array米国側の推進者である,コロンビア大学・ラモント地球研究所のGaherty教授との連携協議をするために,同所を訪問して議論をすすめる.そのための旅費に充てる.
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