研究実績の概要 |
「太平洋アレイ(Pacific Array)」とは,十数台の海底広帯域地震計をアレイ一単位とした,海底地震計アレイによるアレイ観測計画の仮称である.海底広帯域地震観測技術の革新により,1-2年程度の観測により,一単位アレイ直下の一次元地震波速度構造(異方性も含む)が,海水面から150-200kmの深さ(アセノスフェアの深度まで)まで推定できるようになった.この技術革新により,アレイによるアレイ観測を行うことで,広大な太平洋を効果的にカバーする観測計画の可能性が浮び上ってきた.太平洋下のマントル構造を実証的に解明し,1.8億年の太平洋下マントルのダイナミクス・発達史の解明を目指す研究の可能性が見えてきたことを意味する.本(挑戦的萌芽)研究では,太平洋アレイを具体化するための様々なfeasibility studyを行う. H29は前年度に引き続いて,国際的な研究協力体制の構築にむけて活動を行った.そのような中,国際協力関係にある米国の関連NSF Proposal(コロンビア大学Gaherty教授らによる)が採択され,2018年にPacific Arrayと銘打った観測が開始されることとなった.韓国との協力体制を強化するために,4月にソウル大学において研究会を開催した(学振「二国間共同セミナー」枠).またEGU2018大会,JpGU-AGU joint meeting,米国IRIS OBS Symposium等で関連発表,セッション開催をおこなった.国内の研究推進体制については,地震研究所共同利用・特定共同研究B「太平洋アレイ」を通じて研究会を開催し,協力体制を構築した.またH30年度の科研費に,韓国との共同観測研究によるPacific Array観測のための申請を行った(基盤Aが採択). 研究面においては,実体波,表面波の解析手法の検討を継続するとともに,広帯域海底地震計に対する,ノイズ補正の検討をすすめた.またScience誌に関連論文(Takeuchi et al., 2017)が掲載された.
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