研究課題
地球には大きな月が1つだけ存在し、火星には小さな衛星が2つ存在する。一方、金星と水星には衛星が存在しない。それはなぜか?また、木星型惑星には沢山の衛星が発見されており、冥王星にも大きな衛星カロンのほかに複数個の小さな衛星が存在している。平成28年度は、まず火星の衛星に注目し、火星の衛星フォボスとデイモスが、月の起源と同じような巨大天体衝突で形成可能であることを数値シミュレーションによって示した[Rosenblatt, ..., Genda et al. 2016 Nature Geoscience] 。地球の月を作った巨大天体衝突との違いは、衝突天体が比較的小さく、衝突速度が脱出速度よりもやや速い点にある。天体衝突条件(衝突天体サイズ・衝突速度・衝突角度)は、確率的な部分を含んでいるため、その範疇で、衛星の有無・大きさ・数が変わることを意味している。また、2015年にNASAの探査機ニューホライズンズが冥王星を初めてフライバイし、冥王星の鮮明な画像が送られてきた。その画像から、冥王星の赤道付近の広い領域が茶褐色を呈していることがわかり、申請者は、この茶褐色の領域が、衛星カロンを作った巨大天体衝突で冥王星の赤道付近が加熱され、単純な有機分子が重合することによって茶褐色を呈した可能性が極めて高いことを示した[Sekine, Genda et al. 2017 Nature Astronomy]。この研究結果は、衛星を作るような巨大天体衝突が、地球型惑星形成領域だけでなく、外惑星領域においても我々が考えていたよりも高い頻度で起こっていること示している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件)
Icarus
巻: 282 ページ: 195-213
doi:10.1016/j.icarus.2016.09.012
Nature Astronomy
巻: 1 ページ: 0031
doi:10.1038/s41550-016-0031
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi:10.1016/j.icarus.2017.03.009
Earth and Planetary Science Letters
Nature Geoscience
巻: 9 ページ: 581-583
doi:10.1038/ngeo2742
The Astrophysical Journal Letters
巻: 828 ページ: L8 (6pp)
doi:10.3847/2041-8205/828/1/L8
Space Science Reviews
巻: 205 ページ: 153-211
doi:10.1007/s11214-016-0280-1