研究課題
本課題は、温度勾配が小さい高圧高温実験装置である外部抵抗加熱式ダイアモンドアンビルセルの実験可能温度を大きく向上させ、液体鉄合金を高圧その場XAFS測定することで、地球外核や惑星液体核の構造を明らかにすることを目的としている。高温高圧試料の圧力決定には標準物質の粉末X線回折(XRD)測定が欠かせない。そのため本課題の技術目標は大きく、1. XAFSとXRDの複合測定系の立ち上げ、2. 外部抵抗加熱式ダイアモンドアンビルセルによる実験可能温度の向上、の二つに分けられる。1. XAFSとXRDの複合測定系の立ち上げに関して、大型放射光施設SPring-8のXAFS測定ビームライン(BL39XU)にXRD測定システム(フラットパネルセンサーや自動ステージ一式等)を導入することで、高圧その場でXAFSとXRDの複合測定が可能な実験系を立ち上げた。2. 外部抵抗加熱式ダイアモンドアンビルセルの発生温度の向上に関して、LaCrO3ヒーターやイリジウムヒーターを導入し、断熱材を最適化することで、実際に高圧鉄合金を融かすことに成功した。とくに最終年度は、液体Fe-FeS鉄合金のEXAFSスペクトルを取得することに成功している。上記の様に、課題研究期間を通して実験系の立ち上げを終えることができた。本実験系は地球・惑星深部に存在する液体核の構造を理解する上で基幹的実験技術となる。今度様々な圧力・温度・組成で液体鉄合金のXAFSデータを取得することで、地球・惑星液体核の構造に重要な制約を与えられると期待できる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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https://sites.google.com/site/ryuichinomura85/