研究課題/領域番号 |
15K13568
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋口 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (90293943)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小型無人航空機 / 大気レーダー / 大気乱流 / MUレーダー / ウィンドプロファイラー |
研究実績の概要 |
大気レーダーは、天候に関わりなく、高時間分解能で風向風速の高度分布を連続的かつ自動的に観測できることから、気象研究から予報業務まで広範囲に利用されている。大気レーダーの晴天時の散乱体は、大気乱流や密度成層などから生じる屈折率変動と言われている。すなわち、下層大気の屈折率は気温、気圧、及び水蒸気圧で決まるため、大気乱流に伴って密度変動が生じ、電波の屈折率も空間的に変動するためと言われている。過去にラジオゾンデとの同時観測から、気温や湿度変動とレーダー観測エコーとの対応が議論されているが、概ね説明がつくものの、両者の差異はレーダーとラジオゾンデの観測領域の違いが原因とされてきた。本研究では、MUレーダー上空を気象センサーを搭載した小型無人航空機(UAV)で直接測定し、大気レーダーの散乱機構を観測的に明らかにすることを目的とする。 2015年6月1~14日にMUレーダーとUAVとの同時観測実験を実施し、無降雨の弱風時に19回の飛行に成功した。本研究は、米コロラド大・仏トゥーロン大・LATMOSの研究者との国際協同研究であり、実験にはコロラド大で開発されたUAVを使用した。本UAVは、小型(両翼幅1m)、軽量(約1kg)、低コスト(約$1,000)、再利用可能、GPSによる自律飛行可能という特徴を持っている。MUレーダーは天頂ビームで46~47MHz範囲で等間隔の5周波数のレンジイメージングモードで運用した。また、水平風の情報も得るため、天頂角10°で北、北東、東、南東、南の5方向にビームを走査するモードも併用した。できるだけ生データに近いデータを保存し、オフラインにより信号処理を行い、データセットを作成した。UAVについても品質管理を丁寧に行い、データセットを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初めてMUレーダーと小型無人航空機(UAV)との同時観測実験に成功した。観測データの品質管理を行い、データセットを作成し、両データの比較を進めているところである。研究は順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度もMUレーダーと小型無人航空機(UAV)との同時観測実験を計画している。前回の反省点を踏まえ、若干実験方法を修正する予定である。データセットを作成し、両年度のデータセットを用いて、大気レーダーの散乱機構について検討・考察する。これまでに提唱されている散乱機構で説明可能なこと、説明不可能なことを明確に区別するように留意する。また、現在提唱されている手法を用いて得られた乱流強度の推定精度についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付額が当初要求額よりも減額されたため、2016年度の観測実験の予算が不足している。そのため、2015年度はできるだけ節約に努め、次年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の通り、2016年度の観測実験実施のために使用する。
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