研究課題/領域番号 |
15K13573
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀 智昭 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (30467344)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電離圏 / MHD波動 / 電磁イオンサイクロトロン波 / 電場 / SuperDARN |
研究実績の概要 |
昨年度に必要であることが判明した新しいフィッティング手法の開発を行った。これは当初計画していたACF計算されたデータではなく、短波レーダーの受信機が出力する受信波形データを時系列データに変換して、その時系列データを解析することで信号-ノイズ比が十分大きい時間帯及びレンジを抽出する方法である。またそこで抽出されたレンジ干渉が無いと考えられる有意な受信信号のみを用いて、電離圏の特定の場所から得られたDoppler速度を導出する。この手法を 2011年10月5日を始めとする幾つかの候補イベント日にSuperDARN北海道-陸別第一短波レーダーによって得られた実際の観測データに適用した。この中から特に2011年10月5日のイベントについて、当該手法によって約0.1秒毎に受信波形の位相を求めることができ、そこから、本研究の目標である、約0.1-0.5秒程度の時間分解能でのDoppler速度導出が技術的に可能であることを確認した。しかしさらなる解析の結果、このイベントで導出されたDoppler速度には、電離圏MHD波動から予測される周期変動が重畳されていないことが判明した。これ以外のイベントについても同様の解析を行なったが、レーダーから得られた受信波形の信号-ノイズ比が悪いなど、上記のイベントほど良条件でのDoppler速度導出を行うことが難しかった。このことは、原理的にはDoppler速度導出は可能でも、条件によっては統計的に有意な値を抽出できないこともあり得ることを示唆している。この結果について国内研究集会での発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フィッティング手法の開発と確認に時間がかかり、Doppler速度を導出する手法は確立できたものの、その手法を適用した観測イベントから、研究対象となる電離圏MHD波動を実際に同定するに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象となる電離圏MHD波動をとらえていると思われる潜在的観測イベントはさらに数十例特定できており、そのイベントについて新フィッティング手法を適用することでMHD波動の特性を定量的に求める。またそのような結果を複数例集めることで、統計的な性質について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新フィッティング手法の開発に予想以上に時間がかかったため、結果公開サイト用サーバーと外部記憶装置の購入を見送り、そのため物品費の執行について計画との差が生じている。また論文執筆がまだ完了しておらず、人件費やその他に計上されている英文校閲費や印刷代が未執行となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
論文執筆を急ぐとともに研究成果の公開を行うために公開サイト用サーバーと外部記憶装置の購入を進める。
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