昨年度までに詳細解析した幾つかのイベントでは、約0.1-0.5秒の時間分解能で有意な受信信号とDoppler速度は得られたものの、周期的な変動が重畳されてることが確認できなかった。そこで本年度はサーベイする対象を2011年8月以降のSuperDARN北海道-陸別第一短波レーダーの全IQデータに拡大して、調査を行った。イベント同定・抽出を計算機処理で行うべくソフトウェアの開発を行ったが、完成には至らず、計算機で大まかにイベントをサーチした上で、人力での詳細同定を実施した。結果として、Doppler速度に何かしらの振動が乗っているイベントを新たに10例ほど見出すことに成功した。しかしながら、そのうち7例については、レーダーから得られた受信波形の信号-ノイズ比が悪く、有意な振動として同定できなかった。残りの3例については振動は同定できたものの、地上磁力計の同時観測からは同周波数の振動が同定できず、電離圏MHD波動の観測としての確証が得られなかった。
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