研究課題
放射線核種を利用した露出年代測定を利用した、海底活断層による海岸隆起イベントの年代決定手法確立に向けて、前年度の調査結果を受けて、現地調査を行い、試料採取と年代測定を実施した。前年度は、文献収集を行い、本研究の目的に適う調査地点を研究協力者と共に検討した結果、日本海溝沿いの巨大地震に伴う地殻変動を経験し、広く海成段丘面が発達する三陸海岸を調査適地として結論づけた。三陸海岸沿いには大規模な花崗岩体が広汎に分布しており、10Be年代測定に適した石英に富む試料を採取することができると期待される。この検討結果を受けて、空中写真などで海成段丘地形の検討を行うとともに、2017年6月に変動地形学者および10Be年代測定を専門とする研究者と共同で現地調査を実施し、岩手県大船渡市三陸町吉浜および同久慈市侍浜町を試料採取地点として適地であることを確認した。国立公園および土地所有者について調査に関する許認可申請を行った上で、2017年10月に両地点において試料採取およびRTK高精度ディファレンシャルGNSS測位を利用した地形測量の実施を行った持ち帰った岩石試料については処理を行い、10Beおよび26Alの測定を日本原子力研究機構およびPurdue大学において実施した。本研究を通じて、放射線核種を利用した完新世離水岩石海岸地形の年代測定について道筋をつけることが出来た。今回年代測定を実施した地点は、火山灰層序や海成段丘面の広域対比に基づき離水年代が推定されており、異なる手法による年代推定との比較検討によるクロスチェックが可能である。一方、完新世の露出年代測定については、露出時間が短く生成された放射線核種の量が少ないことに起因して、比較的大量の岩石試料が必要となる。このことは、調査地点が花崗岩など石英の含有量が多い岩石の分布域に限られるなど、事前には予想されなかった問題点が明らかとなった。
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Tectonophysics
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