断層面には,固着している部分(アスペリティ)とそうでない部分が存在する.アスペリティでは,地震間に歪が蓄積されて地震時に大きくすべることから,地震発生過程を解明する上でアスペリティの理解は重要である.本研究では,断層面に観察される鏡肌がアスペリティを担っている可能性を,地震断層鏡面の凸凹特性計測と摩擦実験によって検証した.その結果,断層鏡面はフラクタル特性を有すること,大理石の鏡面はすべり静止時間と共に摩擦強度が回復せず,地震の歪みを蓄えるような役割をアスペリティは担っていないことが明らかとなった.強度回復をしない摩擦特性を持つ鏡面は,断層クリープやスロー地震の発生に寄与しているかもしれない.
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