マグマ中の硫黄は水蒸気などと一緒に火山ガスとして地表へ放出され,大気組成や気候に大きな影響を与えている.そのため硫黄がガスとして大気へ放出されるのか,岩石中に固定されるのかを決定づけるマグマ中の硫黄の固気液相間の分配関係を決定することは,火山ガス組成の理解と予測には必要不可欠である.本研究ではマグマの上昇・減圧過程(1~900MPa/hの減圧速度)の再現実験を行った.その結果,高減圧速度下において水・硫黄の非平衡脱ガスによってマグマが酸化し硫化金属が分解することを発見した.この結果は,固気液相間の硫黄分配が減圧速度に依存し,火山ガス組成はマグマ減圧速度の違いによって変化しうることを意味する.
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