地球の進化において、その内部へ輸送または分配された水素の役割は重要である。水素は最も軽い元素で拡散が速く、また少量が結晶構造中に固溶することで鉱物の物性を大きく変化させるなど、挙動が他の元素と明確に異なる。水素の原子スケールにおける拡散のダイナミクス、特にサイト間拡散の頻度や距離を調べることができれば、水素のこのような特異な挙動の理由を理解することができるだろう。我々はそこで、地球マントル深部含水鉱物に対する、世界で初めての中性子準弾性散乱の応用を実施した。この手法によって、鉱物中の水素の原子スケールの拡散ダイナミクスを実験的に解析することができるようになった。
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