研究課題/領域番号 |
15K13595
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寅丸 敦志 九州大学, 理学研究院, 教授 (50202205)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | カルデラ形成 / Phenobubble / 過剰圧 |
研究実績の概要 |
本年度は、インドネシアの複数のカルデラ形成噴火を対象とした。7月に、Sumbawa島のTamboraカルデラ、AD1815噴出物(DRE体積37-45 km3)とLombok島のSalamasカルデラ、AD1257噴出物(DRE体積31-34 km3)、3月にSumatora島のTobaカルデラ のYTT(Youngest Toba Tuff、0.074Ma、DRE体積2700 km3)とJava島のIjenカルデラ(300 ka - 50 ka、DRE体積不明)の調査とサンプリングを行った。TamboraとSalamasのサンプリングでは、カルデラ形成火砕流噴火の前駆プリニー式噴火の降下火砕堆積物に関しては、各phaseに関してそれぞれ等間隔サンプリングを行った。火砕流堆積物に関しては、層の上部・中部・下部についてサンプリングを行った。 Tamboraカルデラについては、堆積物層序と解釈の再構成し、従来火砕流起源と考えられていた堆積物がラハール堆積物であることなどを明らかにした。また、および全岩化学組成、結晶組織と発泡組織を分析を実施し、極めて均一なマグマだまりであることが分かった。Salamasカルデラについては、粒度分析と火砕物粒子の見かけ密度を決定し、それに基づいて各粒子についての降下時間を推定した。Tobaカルデラについては、現地調査でYTTの産状とサンプリングを行った。Ijenカルデラに関しては、主としてカルデラ形成後のカルデラ内に発生したスコリア丘からの火砕物の調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度、地球惑星科学部門長・専攻長・学科長として組織の運営に携り、計画通りに研究を実施できなかったことが影響している。さらに、インドネシアからの留学生の受け入れなど諸般の事情から、インドネシア火山を本研究の対象とすることに変更したので、その調査や分析のための時間を必要としている。
|
今後の研究の推進方策 |
セントへレンズ火山1980噴火、姶良カルデラ形成噴火、鬼界カルデラ形成噴火、インドネシアの、Tamboraカルデラ、Salamasカルデラ、Tobaカルデラについて、火砕物のバルク密度や粒子サイズ、形状、結晶サイズ分布や気泡サイズ分布などの基本データがそろいつつあり、Phenobubbleに注目して、データを整理する。そのデータに基づき、カルデラ形成噴火に至るPhenobubbleの存在様式とそうでない噴火の存在様式の違いを調べ、双方の噴火直前の過剰圧を推定し、カルデラ形成に特徴的な噴火準備過程を考察する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
成果報告のための旅費に使用する。
|