昨年度開発した加熱実験装置を使用して、雰囲気制御環境下での加熱実験の、時間発展CTを実施した。この結果、装置は想定通りに機能し、1500℃前後の高温で溶融した珪酸塩メルト内の結晶成長の様子を3次元の時間発展で観測することに、初めて成功した。 しかし、熱電対や試料台の作成に大幅な時間がかかり、昨年度2回以上予定していた実験が、4日間1度しか実施できなかった。また、実質4日間の実験で、多くの時間を温度キャリブレーションに費やしたため、いくつかの化学組成の試料でのデータを得ることには成功したが、コンドリュールの化学組成での実験には至らなかった。これは、資金が予定よりも大幅に減額されたため、多くの部品の改良、改造を申請者本人の手作業で実施したためである。また、そもそも炉全体の金額よりも配算額が下回っていたため、一部のパーツを他から流用せざるを得ず、精度が下がったことにも起因する。 装置自体の設計、機能は問題ないことが確認されているため、今後引き続き実験を行い、コンドリュールの形成過程を再現すると共に、その4次元CTのデータ解析プログラムの整備などを進めていく。 科学成果は、国内の学会、海外で開催される国際学会で報告予定である。また、予定よりも大幅に遅れることになるが、今年度以降、国際誌などで査読論文として報告する予定である。
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