研究課題
本研究は国際宇宙ステーション(ISS)に超高感度CMOSカラーハイビジョンカメラを設置し流星群の長期定常観測を行い、流星群の流星塵の測光および分光観測から流星塵のサイズや化学組成を求めることを目的とする。観測データから、直接探査の難しい「流星群の塵を放出した天体(流星群母天体)」の物理・化学特性の理解を目指す。平成26年10月、平成27年6月の2度のロケット打上げ失敗を経て,平成28年3月26日に観測カメラはISSに無事届けられ、平成28年7月7日から観測を開始した。平成29年7月末までの一年間で、ふたご座流星群やペルセウス座流星群など11個の主要流星群の測光観測に成功した。平成29年8月から平成30年5月現在まで、主要流星群の10個の分光観測を実施した。観測映像はISS上のコンピュータに接続したHDDに保存し,HDD容量がいっぱいになると宇宙飛行士の手で新しいHDDと交換され、定期的に輸送船より地上に持ち帰っている。また、平日10時から19時までISSとの通信を行い、前日の観測データを地上に降ろし、観測映像の確認を行っている。平成28年から平成29年にかけて観測した流星群の測光観測の結果について、平成29年7月のISS R&D会議で発表を行った。また、平成29年12月のふたご座流星群までの分光観測結果の速報について、平成30年2月のIDP2018シンポジウム及び平成30年3月の49th Lunar and Planetary Science Conference (LPSC)で発表した。現在、観測を継続すると共に、データの解析を進め、論文投稿に向けた作業を進めている。平成30年度の11月まで観測を行い、12月末にカメラは輸送船により地球に帰還する予定である。
4: 遅れている
二度のロケット打上げ失敗を経て,平成28年3月にISSに無事届けられた後も、ISS側の予期せぬ事情や不具合のため観測開始が遅れ、米国実験棟DESTINY内のWORFラックに設置及び初期動作確認後、平成28年7月7日に観測を開始した。本研究は、観測一年目に測光観測、二年目に分光観測を行い、流星群ごとの流星塵のサイズ分布や組成の差異を明らかにすることを目的とする。一年目の測光観測は平成29年7月末まで、二年目の分光観測は平成30年の7月末までの予定であり、それらの観測データが地球に帰還するのが平成30年度中となるため、当初の計画より1年以上遅れている。
流星群の測光映像データを保存したHDDが地球に帰還したため、早急に解析を進め、成果を論文として投稿する。分光観測については、平成30年11月まで観測を行うため、平成30年度内の論文投稿は難しいが、画質を落としてダウンリンクしたデータに基づき、大まかな傾向について学会や研究会などで成果発表を行う。さらに、分光観測データを保存したHDDが地球に帰還次第、論文化に向け、解析に着手する。
二度のロケット打上げ失敗を経て,平成28年3月にISSに無事届けられた後も、ISS側の予期せぬ事情や不具合のため観測開始が遅れ、平成28年7月7日から観測を開始し、平成30年11月に観測を終了予定である。したがって、当初の計画より1年以上遅れて進んでいるため、次年度使用額が生じている。観測データの解析をできる限り迅速に進め、国際誌への論文投稿及び国内外での関連学会や研究集会における成果発表や関連分野の研究者との共同研究を進めるために、予算を使用する。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (4件)
49th Lunar and Planetary Science Conference abstracts
巻: CD-ROM ページ: 2525
巻: CD-ROM ページ: 2570
ISS R&D 2018 proceeding
巻: CD-ROM ページ: 303
第61回宇宙科学技術連合講演会講演集
巻: CD-ROM ページ: 1S18
http://www.perc.it-chiba.ac.jp/project/meteor/
https://www.nasa.gov/mission_pages/station/research/experiments/1323.html
http://www.nasa.gov/mission_pages/station/research/news/meteors_from_space
https://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=88578