研究課題
本研究は氷床を迅速に掘削しながら分析する技術、すなわちレーザードリル連続分析システムの開発を目指すものである。レーザーで氷床を掘削するにはレーザーの波長、出力(強度)さらには氷床上で掘削するためのシステムを検討する必要がある。そこで本研究では、氷が吸収する波長を考慮して中赤外レーザー光源を利用し、氷と雪の融解速度を計測した。その結果、レーザー強度が50W/cm2のCO2レーザー(10.6マイクロメートルの波長)を利用して氷を融解させると、氷で0.8mm/s、153kg/m3の雪で4mm/sの融解速度を得た。また、掘削長が100mを超える場合を想定して、レーザードリルとしては透過率の高いファイバーカップルのレーザー光源が良いことも提案した。ただし、CO2レーザーの波長ではファイバーの透過率が低いので、ファイバーの透過率が良い波長に限る。たとえばErレーザーの波長帯などが該当する。出力は低いが、ベンチマークとして他の波長のレーザーを利用して氷の融解速度を計測した。波長の長い10.6マイクロメートルのレーザー光よりも、より波長の短い光源の方が、氷の融解速度が速い結果も得られた。具体的には6マイクロメートル帯と3マイクロメートル付近のレーザー光源である。現在は投稿準備中である。近赤外に波長が近づくほど良い透過率のファイバーが開発されているので、より短い波長かつファイバーの透過率が良い波長帯、すなわち、1マイクロメートルから6マイクロメートル程のレーザー光源が適しているであろう。ただし、単に波長が短いというわけではなく、氷が吸収するのに適した波長という意味である。本システムを実現させるためには、今後のレーザー開発における技術推進も必要となる。本研究ではkWを超える1マイクロメートルの高平均出力レーザーの開発にも携わり、その一部を出版している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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