研究課題
プラズマ粒子の表面近傍での挙動のその場観測は、表面で生じるプラズマ素過程やプラズマ粒子リサイクリングにおける境界条件の理解に重要である。本研究では、プラズマ対向壁を全反射プリズムとし、プリズム表面から光の波長程度のいわゆる近接場光の存在する領域で生じる蛍光のみを全反射配置で分光計測することで、表面近傍のみに存在するプラズマ粒子だけを選択して観測するプラズマ近接場分光法を開発する。本年度は、溶融石英の直角プリズムの表面に加え、金を約10 nm成膜した溶融石英板をマッチングオイルで溶融石英直角プリズムに貼り付けた試料の金薄膜表面にヘリウムガスを動作ガスとした大気圧低温プラズマジェットを照射した。全反射配置で得られる発光スペクトル、照射表面を含めた発光スペクトル、プリズムのない状況で得られるバルクの発光スペクトルを250~800 nmの範囲で計測した。バルクプラズマジェットからはヘリウム原子、窒素分子、水素原子、酸素原子、OHの輝線が観測されるが、各発光スペクトルの輝線強度を各観測領域体積と比較したところ、溶融石英表面照射時にはバルクプラズマに比べて全体的に発光量が数倍程度増加し、表面近傍では窒素分子の発光が約900倍、ヘリウム原子の発光が約300倍増加することが示唆された。一方、金薄膜表面照射時にはバルクプラズマに比べてヘリウム原子の発光が10倍程度増加し、窒素分子の発光が約700倍、ヘリウム原子の発光が約300倍増加することが示唆された。半導体レーザーを用いて構築したヘリウムの励起原子と準安定原子のドップラーフリー計測システムにより、マイクロホローカソード放電ヘリウムプラズマ中の励起原子、準安定原子、ガス温度、電場の空間分解計測を行った。本システムを用いてレーザー誘起近接場蛍光の観測を試みたが、現在のところ有意な信号は得られていない。
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Plasma and Fusion Research
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 57 ページ: 01AA03~01AA03
10.7567/JJAP.57.01AA03