真空中に直径60ミクロン程度の液滴を生成して保持する技術を開発し、水およびエチレングリコールを試料として研究を行った。液体は真空中で急速に蒸発するため、すぐに温度が低下して凍結すると予想される。水液滴では、凍結までの約10ミリ秒間を観察し、過冷却状態の水の凍結核生成速度の温度変化を明らかにした。これに対して、生理環境のような無機塩水溶液では、純水よりも蒸発が遅いことを見出した。一方、蒸気圧の低いエチレングリコールでは、蒸発冷却と輻射加熱が競合し、数十秒もの長時間にわたって液相を保つことを見出した。これら当初予期しなかった現象の発見を含め、真空中での液体利用に向けた価値ある成果を上げた。
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