研究実績の概要 |
ホウ素官能基が組み込まれたπ共役系は特徴的な電子特性、興味ぶかい光物性などを示すことから近年研究活発である。われわれは、以前、ホウ素基を求核的反応剤として共役系にホウ素官能基を直接導入することができる全く新しいシリルボラン/塩基による求核的ホウ素化反応(J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 19997, およびJ. Am. Chem. Soc., 2014, revised)を発見した。本研究はこの方法を含ホウ素炭素共役系の合成に拡張しようとするものである。具体的には、Ph2MeSi-BMes2と塩基を用いた4-ethylbromobenzene 2aにおいて、種々反応条件の検討を行ったところ、溶媒として1,4-dioxane/hexane (1:1 v/v)、塩基としてNa(O-t-Bu)を1.2等量、50℃で反応させることで、高収率かつ高いホウ素置換選択性でホウ素置換反応が進行することを見出した。次に最適化した反応条件を用いてdimesitylborylationの基質適用範囲の検討を行った。Bromobenzene 2bや2-bromonaphtalene 2c、メタ位にメチル基を持つアリールブロミド 2dなど立体障害の小さな基質では高収率かつ高いホウ素置換選択性で反応が進行したが(2b: 94%, B/Si = 90 : 10, 2c: 78%, B/Si = 90 : 10, 2d: 90%, B/Si = 92 : 8)、オルト位にメチル基を持つ基質 2eでは収率、選択性が大きく低下した (46%, B/Si = 67 : 33)。次に官能基を持つ基質の検討を行った。電子豊富なメトキシ基やジメチルアミノ基を持つ基質でも良好な収率かつ高い選択性で反応が進行した。
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