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2015 年度 実施状況報告書

典型元素を用いた窒素分子の活性化

研究課題

研究課題/領域番号 15K13636
研究機関埼玉大学

研究代表者

斎藤 雅一  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80291293)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード典型元素 / 小分子の活性化 / 元素戦略 / リチオスタンニレン
研究実績の概要

自然界の窒素固定を模した穏和な条件下で窒素固定をする人工系を構築することは、エネルギー節約の観点から革命的な成果となる。しかし、これまでr遷移金属錯体を用いた研究のみが報告されており、一般に安価でユビキタスである典型元素の場合、窒素固定の研究はおろか、窒素錯体でさえも報告されていない。
本研究では窒素分子との錯体を形成しうる典型元素化合物としてリチオスタンニレンを設計し、まずその合成を検討した。
まずリチオスタンニレンの前駆体となるクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)スタンニレンの合成を検討したところ、反応の中間に発生した標的化合物とスズ源として用いた塩化スズ(II)が反応し、研究例の少ないペンタメチルシクロペンタジエニルスズカチオンが生成した。反応条件を検討したところ、クロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)スタンニレンの合成に成功したので、その還元反応を検討したが、単体スズが生成する結果となった。このことは、リチオスタンニレンを安定な化合物として合成ための置換基として、ペンタメチルシクロペンタジエニル基は不適切であることを示唆している。
そこで次に、塩基による配位安定化も可能になる置換基として、ペンタメチルシクロペンタジエニル基から3,5-ジメシチルフェニル基に換え、そのリチオ体を単離し、塩化スズ(II)との反応を検討したところ、クロロ(3,5-ジメシチルフェニル)スタンニレンの生成を示唆する結果を得た。現在、その単離・構造決定を検討中であり、さらなる還元反応も検討するつもりである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スズ上の置換基としてペンタメチルシクロペンタジエニル基を用いた場合、クロロスタンニレンが発生するものの、さらに反応が進んで研究例の少ないペンタメチルシクロペンタジエニルスズカチオンが生成した。次に、配位安定化も見込める新たなかさ高い置換基として3,5-ジメシチルフェニル基を用いたところ、スズカチオンを思われる化学種の生成は確認されず、クロロ(3,5-ジメシチルフェニル)スタンニレンの生成を示唆する結果を得たので、今後のクロロ(3,5-ジメシチルフェニル)スタンニレンの単離、及びさらなる還元によるリチオスタンニレンの発生が可能になる、と考えられるから。

今後の研究の推進方策

クロロ(3,5-ジメシチルフェニル)スタンニレンの単離及び還元反応を検討する。この置換基でもリチオスタンニレンの安定化が図れない場合、N-ヘテロ環状カルベンによるスタンニレンの非占有軌道の配位安定化、さらにかさ高い3,5-ビス(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)フェニル基の利用を検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [学会発表] ブタジエン骨格を有するイオン性ハロゲン化鉛化合物の合成2016

    • 著者名/発表者名
      村上達也、古川俊輔、斎藤雅一
    • 学会等名
      日本化学会第96春季年会
    • 発表場所
      同志社大学京田辺キャンパス(京都府京田辺市)
    • 年月日
      2016-03-26
  • [学会発表] ペンタセラニルベンゼンをプラットフォームとした新しいσ非局在ラジカルカチオンの創製2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木拓実、古川俊輔、斎藤雅一
    • 学会等名
      日本化学会第96春季年会
    • 発表場所
      同志社大学京田辺キャンパス(京都府京田辺市)
    • 年月日
      2016-03-25
  • [備考]

    • URL

      http://www.chem.saitama-u.ac.jp/msaito-lab/index.html

  • [備考]

    • URL

      http://www.chem.saitama-u.ac.jp/msaito-lab/English/indexEng.html

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公開日: 2017-01-06  

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