典型元素による窒素分子の活性化という究極の目標のためには、前例のない典型元素と窒素分子の錯体を合成することが必要と考えた。本研究では、窒素分子と安定な錯体を形成することができると予測したリチオスタンニレンおよびシラシクロペンタジエニリデンの合成を目指した。Cp*SnClのリチウムによる還元反応でCp*SnLiの合成を検討したが、望みのCp*SnLiは熱力学的に不安定であるとことがわかった。新たに用いる立体保護基として3,5-ジメシチルフェニル基を選択し、空気中で安定なジクロロシロールの合成・単離に成功した。得られたジクロロシロールを還元し、シラシクロペンタジエニリデンの発生を確認した。
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