分子全体が一つのパイ電子系となっているケージ状分子フラーレンと並ぶ新しいケージ状分子ファミリーの創出をめざして、多環芳香族炭化水素を正多面体型に組み合わせていく「多環芳香族パネリング」の手法を提案し、研究を行った。オール炭素骨格の多環芳香族炭化水素配位子に導入する配位部位としてビニル基やアリル基を用い、10族金属への配位を駆動力として自己集合を試みたが、多くの場合で複雑な混合物が生成した。エチニル基を導入した化合物との錯形成では各種サイズのオリゴマーが生成することがわかった。さらに、10族金属としてニッケルを含む各種環状構造の構築にも成功した。
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