研究課題/領域番号 |
15K13639
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50281100)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ポルフィリン / π拡張 / 反芳香族 / 二次電池 / 活物質 |
研究実績の概要 |
我々は既に反芳香族性ポルフィリンであるノルコロールを電極活物質として利用する二次電池を報告している。今回は電池特性のさらなる向上のため新規ノルコロール誘導体の合成を検討した。ノルコロールに対してシアニドやチオラートなどの求核剤を反応させると、メゾ位の置換基に近い3位に位置選択的に置換基を導入できることを見いだしている。しかし、この反応では利用できる求核剤の種類に制限があるだけでなく、ノルコロールの3位しか修飾することができない。ノルコロールの酸化還元電位を自在に制御するためには、新たな修飾法が必要であると考えた。そこで、ノルコロールの修飾法として臭素化を検討した。種々検討した結果、3位および2位に臭素置換基をもつ二種類のブロモノルコロールを反応条件を工夫することによって作り分けることに成功した。得られたブロモノルコロールの構造については単結合X線構造解析によって明らかにすることができた。臭素はさまざまな官能基に変換が可能であるため、ノルコロールの3位および2位に多様な置換基を導入することができる。実際、鈴木ー宮浦カップリングを用いることにより、3位および2位にアリール基をもつノルコロールを合成し、その光吸収特性や酸化還元特性がアリール基を導入する位置によって大きく影響されることを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究一年目でノルコロールの2位および3位に多彩な置換基を導入する手法を開発することに成功した。これにより、様々なノルコロール誘導体の電池特性を評価できる状態になった。
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今後の研究の推進方策 |
様々なノルコロール誘導体を用いた二次電池を作成し、その特性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新しいポルフィリン誘導体の開発に集中して取り組んだ。化合物を大量に必要とする評価を行わなかったため、必要とする試薬等が少なく済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
電池特性の評価のため、化合物を大量合成するための試薬や精製用品など消耗品に使用する。
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