研究課題
(1)速度論的に安定as‐インダセンの物性調査速度論敵に安定化されたas‐インダセン誘導体を合成するためのモデル実験として、昨年度に引き続いてs‐インダセン誘導体の合成の検討を行った。すなわち、ジブロモジエチニルアセチレンとベンズアミドとの付加-転位による新合成ルートの条件検討を行った結果、母骨格の構築を従来に比べて非常に効率的に行うことに成功した。引き続き、置換基の導入と還元的脱ヒドロキシ化により、ヘキサフェニル‐s‐インダセンの合成を達成した。これは単離されたインダセンの炭化水素誘導体の二つ目の例である。この新合成法は目的のas‐インダセン誘導体にも適用可能であるため、as‐インダセンの合成まで行うことはできなかったが、その目処を付けることができた。(2)チオフェン縮合as‐インダセンの類縁体の合成と物性調査可能な6種類の母骨格のうち、昨年度はo‐キノジメタン型の一つが低収率ながら二量体を生成することを見出した。今年度はさらにその追試実験を行い、各種スペクトルに基づき二量体の構造を決定した。この高反応性のo‐キノジメタン型インダセンを速度論的な安定化するため、かさ高いメシチル基を導入した誘導体の合成を試みたが、目的物を単離することはできなかった。チオフェン環の縮合により高反応性のインダセンの性質が顕著に現れ高活性点が増えたため、メシチル基による安定化が不十分であったと考えられる。もう一つのo‐キノジメタン型についても同様の結果がえられた。これらの結果から、チオフェン縮合as‐インダセン誘導体を室温の大気下で単離することは困難であると判断した。そのため目的物を蛍光発光性のジヒドロ誘導体に転換し、二種類のo‐キノジメタン型化合物の合成と光学的物性の調査を行った。
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The Journal of Organic Chemistry
巻: 82 ページ: 1380-1388
10.1021/acs.joc.6b02500
http://www.supra.chem.es.osaka-u.ac.jp/publications/