本研究では、動的な基盤分子である赤血球のメッシュ状細胞膜骨格への部位特異的な金属錯体集積化法の確立を目指した。メッシュ状細胞膜骨格のリシン残基と選択的に反応するNHS基を導入した配位子の大量合成方法の確立、ゴースト赤血球 (gRBC) と配位子NHS基との反応条件の最適化、配位子修飾gRBCと金属イオンとの反応によるメッシュ状細胞膜骨格での錯体形成を達成し、gRBCのメッシュ状細胞膜骨格が金属錯体形成の土台として機能することを明らかとした。今後は、金属錯体修飾後のメッシュ状細胞膜骨の詳細な構造解析と、膜変形に伴う金属錯体の物性変化の評価を進めていく。
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