研究実績の概要 |
異なる金属元素の原子が直接結合することにより生じる異種混合金属クラスターは、同一種類の金属元素から構成されるクラスターとは異なる触媒反応活性や物性を示すことが期待される。これまでに数多くの異種混合金属クラスターの合成研究がおこなわれてきたが、一般に、金属配列を制御しながら10核程度の多核異種混合金属クラスターを合成・単離することは極めて難しいとされており、金属配列の相違に基づいてその性質を理解し、特徴をうまく引出すことは困難とされてきた。本研究では、長鎖一次元金属鎖錯体をモデル分子として用いて、10核金属鎖内の異種混合金属配列を精密に制御するための化学的手法を開発することを目指した。 平成28年度では、前年度に得た知見をもとにして、一酸化炭素を脱メタル化剤として用いた異種混合金属鎖クラスターの構築を進めた。特に、長鎖α,ω-ジアリールポリエンを多座架橋配位子として用いた一次元金属鎖骨格の構築と脱メタル化、メタル化をおこない、バイメタリック多核異種混合金属クラスターを構築することに成功した。
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