炭化水素ロタキサンは、長鎖アルキルをシクロアルカンの穴に通す統計的な手法で合成されたが、輪と軸との間に相互作用がないため収率は極めて低い。本研究では、マロン酸ジエチルとα,ω-ジブロモアルカンを原料として、6個の極性官能基を有する大環状アルカンを合成した。分子間反応と分子内環化反応を連続で行い、基質濃度3 mMの時に最も効率よく環化した。そして、側鎖のエステル基を加水分解してカルボキシレート基に変換した。大環状アルカンの水/アセトニトリル溶液に軸成分を懸濁させ、10日間加熱還流した。輪と軸の間に働く疎水効果をロタキサン形成の駆動力として期待したが、ロタキサンは形成できなかった。
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