直径数ナノメートルの金属ナノ粒子は、その高い比表面積から触媒・電極触媒材料として、とても高い活性を示すことから盛んに研究が行われている。中でも白金触媒は化学的に安定で、種々の反応に対して優れた触媒活性を示すため、現在広く利用されているが、資源量が少なく高価であるため、コアシェル化や中空構造化、また単位重量あたりの触媒活性を大きくすることで使用量を低減する試みが検討されている。一方、触媒活性は、露出した結晶面に依存して変化することが知られており、高活性な結晶面を表面に露出させることで、触媒活性を大きく向上させることができるが、その方法は未だ確立されていない。 本研究ではポリオール法により比較的結晶面を制御しやすいテンプレート金属上へ、白金薄膜を析出させることにより、テンプレートの結晶構造を維持しつつ、薄い白金層を有する触媒の作製を検討した。平成27年度は燃料電池に用いられる、酸素還元反応の電極触媒活性向上を目指して、この反応が最も効率的に起こる白金(111)面をターゲットに、テンプレート粒子の合成と、白金層の析出について検討を行った。28年度は得られた触媒粒子の構造最適化により、実際に触媒活性を大きく向上させることが可能であることを確認した。さらに、コアとして用いた粒子の表面局在プラズモンを励起することで、これまで報告のなかったプラズモンアシストによる酸素還元反応の促進を初めて確認するに至った。
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