研究課題/領域番号 |
15K13686
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松永 茂樹 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50334339)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遷移金属触媒 / 遷移金属カルベン / 直接変換 / コバルト / シクロプロパン化 |
研究実績の概要 |
計画初年度にあたる平成27年度には、まず高原子価状態のコバルト活性種を如何に安定に発生させるかということに関して集中して検討を行った。配位子を各種合成し、触媒活性の評価と安定性の評価を実施した。また、不斉反応への適用を視野にいれ、まずはジアゾ化合物を原料に用いた不斉反応場の評価もおこなった。分子内シクロプロパン化、および、分子内C-H挿入反応を指標として検証を行い、モデル系における評価を行った。ジアゾ化合物を原料として用いた場合には良好な反応性が予想通り得られており問題は無い。一方で、本研究課題でもっとも重要なジアゾ化合物を用いない活性種の発生については、1電子酸化剤を利用する方法、さらには、酸化剤とアルキンから別経路で活性種を発生させる方法の2通りを選択して検討を進めた。しかしながら、初年度にはうまく活性種を発生させられる方法論を見いだすことは出来なかった。これは、配位子の分子デザインに問題があることが考えられるため、2年目には共役系を伸ばした配位子を合成し反応性の検証を実施する。また、それとは同時に単核では当初想定した結果が得られない可能性も考慮し、新たな複核錯体の活用を検討課題として実施することとした。平成27年度にはパラジウム/コバルト複核錯体の調製を行った。本錯体がヘテロな組み合わせで出来ていることは質量分析における同位体ピークパターン解析から証明することができた。今後は複核錯体の金属間の相互作用の有無の確認、2核間の電子のやり取りを介した活性種の生成にも取組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予定していた配位子や錯体の調製を行い検討を進めた。予想に反し、十分な触媒活性は得られていないが、得られた知見をベースとして新たな複核錯体の設計と合成などを実施しており、全体としてはおおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画した配位子では十分な活性が発現しなかった結果を踏まえ、新たな分子デザイン、複核錯体の設計などを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画した配位子では、予想した触媒活性が得られなかったため、計画を微修正して新たな分子の設計、触媒の設計を実施する必要があり、分子設計に時間を要したため、実施する実験量が減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たな分子デザインに基づいた触媒の合成と応用について検討を進めており、平成28年度は当初予定を上回る試薬品等の物品費を使用することになる予定である。
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