研究実績の概要 |
従来のπ共役オリゴマー分子の合成は、有機金属触媒を用いたカップリング反応に基づいたものが主流であり、該手法には所望の分子量に応じて反応・精製を繰り返す多段階かつ煩雑な合成手順が必要になる。これに対し、本研究では空間的・時間的制御が可能になるフロー式の電気化学マイクロリアクターを利用し、分子量の制御されたπ共役オリゴマー分子を単純なモノマーから簡便かつ効率的に提供することができる革新的な合成システムを構築することを目的とした。 とりわけ本研究では、当該合成システムの高度化と汎用化を図るために【種々の分子量を有する単分散性オリゴチオフェンの合成】と【各種π共役オリゴマー分子の合成】に焦点を絞り検討を行った。具体的には高効率・高選択的なオリゴチオフェン合成のための最適条件(流速、電流密度、電極電位、通電量、電極材料、溶媒ならびに電解質の種類)を導出するとともに、電気化学マイクロリアクターの最適構造(流路長、流路幅、電極間距離)の検討により最高のパフォーマンスを発揮するオリゴチオフェン合成システムを構築することに成功した。さらには3-ヘキシルチオフェンオリゴマーおよび3,4-エチレンジオキシチオフェンオリゴマーを合成ターゲットに選定し、対応する各種モノマー基質に対し、本合成システムを適用した。その結果、いずれにおいても所望の分子量ならびに分子量分布を有するオリゴチオフェン類の合成に成功した。
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