本研究では「カルボン酸」のカルボニルα炭素をケイ素に置き換えた「シラカルボン酸」とその誘導体を創製し,それらの特異な反応性について明らかにした.その効率的な新規合成法としてアルコキシビニルシランのオゾン酸化を開発して,多様なシラカルボン酸エステル類を不斉合成することに成功した.また,その反応機構について計算化学的手法を用いて解析し,その反応においてビニル基上のアルコキシ基が一次オゾニドの1,3-双極子環状脱離を促進していることを明らかにした.また,生理活性分子の部分構造として重要なαヒドロキシカルボン酸構造を有するキラルシラカルボン酸エステルを光学活性体として調製することにも成功した.
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