研究課題
前年度の研究成果において、触媒スクリーニングの結果、アルミナ共存系でイリジウム触媒を用いた水素化反応系が、アルカンのメタンへの変換に効果的であることを見出しているが、さらに各種イリジウム触媒の検討の結果、10 mol%の塩化イリジウム酸とアルミナを系中で混ぜ、1気圧の水素雰囲気下で270℃に加熱しノナデカンの開裂反応を行なったところ、100%の転化率でメタンが定量的に生成した。本反応の経時変化を調べたところ、直鎖状アルカンは末端から順に切断され、メタンを生成させることが明らかとなった。一方、シクロドデカンを用い環状アルカンについての検討をおこなった。その結果、反応は環の水素化開裂を伴って進行し、メタンへの定量的な変換が達成された。回収触媒の4回の再利用実験においては触媒活性の低下は認められなかった。各種の官能基を保有する基質についての反応を検討した。ステアリン酸を用いたところ、一炭素減炭されたC17のアルカンが主に得られた。テトラデシルアルコールを用いた場合にはアルコールの還元が起こった。塩化テトラデシルを用いた反応では、還元によりテトラデカンが主に得られた。これらの反応では還元を経て生成したアルカンからのメタンへの変換は認められたが、アルカンの系と比較した時に触媒活性が大きく抑制されることがわかった。また本条件を種々の官能基が含まれるリグニンの水素化分解に適用したがほとんど進行しなかった。これらのことから、官能基による触媒の抑制機構の解明が選択的な炭素ー炭素結合開裂への鍵となる。
すべて 2017 2016
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