研究実績の概要 |
本研究では,現在急速に発展しつつある新分野であるオプトフルイディクス(Optofluidics)のための新たな光操作法の開発を目指し,キャピラリー管内の層流を利用する新たな原理に基づく以下の二種類の液液光導波路(Liquid-core/Liquid-cladding Waveguide: LLW)の構築を試みている.すなわち,1)キャピラリー管を流れる混合溶媒における壁面効果を利用したLLWの構築.(タイプ1),および2)キャピラリー管内の層流の線速度分布を利用する動的LLWの構築.(タイプ2)これらのLLWは,オプトフルイディックチップにおける光の伝達,分岐,遮断,スイッチングなどのための基礎技術を提供するとともに,様々な高感度長光路分光検出システムへの利用が期待される.本年度は,主として2)に関しての実験の遅れから研究期間延長を申請し認められた.そこで,キャピラリー管内の層流の線速度分布を利用する動的LLWの構築のために,屈折率の異なる溶液をプラグ状に交互に導入することを意図し,旧タイプを含めた種々のダブルプランジャーポンプを用いて実験を行った.しかし,微弱な信号の増減は認められたものの,意図した強い光導波現象を確認するには至らなかった.これは使用したダブルプランジャーポンプが,申請者らが意図した実験条件を満たしていなかったためと推定している.一方, Tsukagoshiらにより見出された層流において水-親水性/疎水性有機溶媒三成分混合溶液が管径方向に分配する現象(管径方向分配現象(TRDP), Anal. Sci., 2011, 27, 793)を利用したLLWについて,引き続きその現象の確認とキャラクタリゼーションを行い,その可能性を実証した.
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