• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

複雑な血管網を有するマイクロ三次元組織の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K13719
研究機関群馬大学

研究代表者

佐藤 記一  群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (50321906)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードマイクロ流体デバイス / バイオアッセイ / 血管模倣デバイス
研究実績の概要

細胞培養のためのマイクロデバイスの設計と試作を行った。チップ内の微小な培養槽で細胞を三次元培養する場合、栄養欠乏に陥りやすいため、細胞の接着面側からの培地供給も必須であり、多孔質膜上に細胞を培養することを着想した。そこで、上下に接する2本の流路の間を多孔質膜で仕切るようなチップを作製し、多孔質膜の上側を培養槽とした。チップはソフトリソグラフィー法によってPDMSを用いて作製し、流路の形状及びサイズ、膜の表面修飾について最適化を試みた。作製したデバイスを用いて細胞の集積培養法について検討した。その結果、複数種類の株化細胞を用いた実験において、集積培養に成功した。
さらに、ヒト由来の初代線維芽細胞での三次元培養を試みており、細胞懸濁液の細胞数密度、導入方法、培養時間、培地の供給方法などについて検討を行った。また、この三次元培養している細胞層の間に血管内皮細胞を1層共培養することにより、自発的に管腔構造を形成させて血管として機能させることを試みたが、現時点では成功に至っていない。
一方、ハイドロゲルを用いて作製したマイクロ流体デバイスを用いて模擬血管を構築することも試みた。アガロースゲルを用いてマイクロ流路を作製し、その中に管腔構造を有したアルギン酸ゲルを造形した。具体的な作製手順としては、細胞を懸濁したアルギン酸溶液にマイクロ流路内で外側からCa2+を作用させる事により、外側のみゲル化させることで環状構造を作製した。アルギン酸ゲル内に2種類の細胞を共培養することにより模擬血管を作製することをめざし、内側に血管内皮細胞、外側に平滑筋細胞を用い、細胞接着を促すためにアルギン酸にはコラーゲンの添加を試みた。その結果、細胞培養には成功したものの、充分な細胞の進展と分化を観察することはできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マイクロデバイスの作製とモデルである株化細胞の培養には成功しており、おおむね順調に推移している。ただし、初代細胞の増殖や充分な分化には至っていないために、今後重点的に検討する必要がある。

今後の研究の推進方策

管腔状ハイドロゲルの内側に血管内皮細胞、外側に平滑筋細胞、場合によってはさらにその外側に線維芽細胞などを共培養することをめざして、培養条件の検討を試みる。さらに、作製したこの太い血管に、毛細血管網を有した三次元組織を自発的に構築させることを試みる。これにより、外部流路からつながる太い血管、そこから分岐する毛細血管網、全体を取り囲む線維芽細胞といった複雑な構造を有した三次元組織培養の実現を試みる。
作製した三次元組織について、外部からモデル薬剤などを導入し、これが毛細血管網などを通じて組織に移行する速度、および移行量を測定し、薬がどれだけ体内組織に分布するかのモデルとしてふさわしいかどうか評価する。

次年度使用額が生じた理由

株化モデル細胞を用いた条件検討が多く、高価な初代細胞とその専用培地の購入が少なかったことや、学会出張経費を計上しなかったために未使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

本年度は初代細胞を用いた培養条件の検討を数多く行うために、繰越額を合わせた予算の大半を細胞培養実験の消耗品費として使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Patterned Co-culture of Live Cells on a Microchip by Photocrosslinking with Benzophenone2016

    • 著者名/発表者名
      Kiichi Sato, Sayaka Kikuchi, Eri Yoshida, Reina Ishh, Naoki Sasaki, Kin-ichi Tsunoda, Kae Sato
    • 雑誌名

      Anal. Sci.,

      巻: 32 ページ: 113-116

    • DOI

      10.2116/analsci.32.113

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Microcirculation-on-a-Chip: A Microfluidic Platform for Assaying Blood- and Lymphatic-Vessel Permeability2015

    • 著者名/発表者名
      Miwa Sato, Naoki Sasaki, Manabu Ato, Satoshi Hirakawa, Kiichi Sato, Kae Sato
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 10 ページ: e0137301

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0137301

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高機能バイオアッセイのためのマイクロデバイスの開発2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤記一
    • 学会等名
      日本化学会 第96春季年会
    • 発表場所
      同志社大学京田辺キャンパス(京都府京田辺市)
    • 年月日
      2016-03-27
    • 招待講演
  • [学会発表] 人工血管モデル開発のための中空状ハイドロゲル内での細胞培養2015

    • 著者名/発表者名
      福田隼也, 角田欣一, 佐藤記一
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会 第32回研究会
    • 発表場所
      北九州国際会議場(福岡県北九州市)
    • 年月日
      2015-11-26 – 2015-11-27
  • [学会発表] 人工血管モデル開発のための中空状ハイドロゲルの作製とハイドロゲル内での細胞培養2015

    • 著者名/発表者名
      福田隼也・角田欣一・佐藤記一
    • 学会等名
      5th CSJ 化学フェスタ
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都)
    • 年月日
      2015-10-13
  • [学会発表] 腫瘍組織における血管新生マイクロモデルの開発2015

    • 著者名/発表者名
      町田昇亮、角田欣一、佐藤記一
    • 学会等名
      日本分析化学会第64年会
    • 発表場所
      九州大学伊都キャンパス(福岡市)
    • 年月日
      2015-09-10
  • [学会発表] 3D culture of fat and muscle cells in a microchip2015

    • 著者名/発表者名
      Kyoka Onodera, Kin-ichi Tsunoda, Kiichi Sato
    • 学会等名
      RSC Tokyo International Conference 2015
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉市)
    • 年月日
      2015-09-03 – 2015-09-04
    • 国際学会
  • [学会発表] Fabrication of a tubular hydrogel structure and cell culture in the tube for development of a vascular model2015

    • 著者名/発表者名
      Shunya Fukuda, Kin-ichi Tsunoda, Kiichi Sato
    • 学会等名
      RSC Tokyo International Conference 2015
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉市)
    • 年月日
      2015-09-03 – 2015-09-04
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi