本研究ではまず金ナノロッドの2量体の作製を行った。既報の方法を試したが金ナノロッドの集合状態を適切に制御できず、2量体の収率も極めて低いことがわかった。参考にした論文の金ナノロッドはシーディング法によって調製されたものであり、我々の金ナノロッドは光反応法によるものである。ナノロッドの表面状態のわずかな違いによって実験結果が再現しないと考えられる。実験条件を細かく最適化し、金ナノロッドの2量体を高収率かつ再現性よく調製する条件を検索した。その結果、分光特性が再現性良く2量体以上の組織体と考えられるスペクトルに変化する調製方法を見出した。TEM観察による30 %程度の収率でナノロッド2量体が得られていることがわかった。2量体の分光特性をセンシングに用いるには2量体の収率を向上させる必要があるが、我々の行った範囲では調製段階で収率を向上させることはできなかった。調製後に分画するために、幾つかの分離分画法を試みたが、最終的には密度勾配遠心分離法による分画する方法を選択した。ショ糖を用いたステップグラジエントによる遠心分離で、孤立分散ナノロッドと組織体を分画することに成功した。さらに、組織体を銀シェルで覆う操作が可能であることを確認し、その均一性と再現性の評価を行った。 銀シェル金ナノロッド表面に多様な表面修飾を施すために、ナノロッドを極性有機溶媒に分散する方法の開発を行った。アセトニトリル・ジメチルスルホキシド・ジメチルホルムアミドに分散できる表面修飾法を開発し、機能性ペプチドの吸着によっても粒子が凝集しない表面修飾法を確立した。
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