研究課題/領域番号 |
15K13745
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
依馬 正 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20263626)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 超分子化学 / 触媒・化学プロセス / 分子認識 |
研究実績の概要 |
2つの水分子を4電子酸化して酸素分子を与える光化学系IIの酸素発生中心(Mnクラスター)は、光合成における心臓部である。本研究では、これによく似たMnクラスターを合成するための超分子戦略を開発する。即ち、Mnクラスターに対して3つのカルボキシラート基を真横から配位させ、系統的な構造チューニングが可能な超分子配位システムを構築する。大環状型Znポルフィリン6量体-ビスピリジン配位子-Mnクラスターからなる超分子を合成し、X-線結晶構造解析する。 本年度は、ポルフィリン多量体の合成を中心に行った。StilleカップリングによりTIPS-ethynyl基を導入したメタフェニレン架橋ポルフィリン二量体を合成した。TIPS基を脱保護した後、Glaserカップリングすることで大環状四量体と大環状六量体の合成を試みた。しかしながら、化合物の不安定性のため目的とする大環状多量体を単離することはできなかった。そこで、改めて分子設計を見直し、新たな合成法を検討した。その結果、クロスカップリング反応を駆使することにより大環状ポルフィリン多量体の合成に成功した。大環状ポルフィリン多量体の混合物をGPCで精製し、質量分析を行ったところ、大環状ポルフィリン四量体と大環状ポルフィリン六量体の生成を確認できた。また、GPCの保持時間から大環状ポルフィリン八量体と大環状ポルフィリン十量体も微量ではあるが生成していることが示唆された。大環状ポルフィリン四量体と大環状ポルフィリン六量体の生成は、NMRスペクトルによっても支持された。一方、テンプレート合成も試みたが、現在のところ、選択的合成あるいは収率の向上には至っていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、クロスカップリングにより大環状ポルフィリン多量体の合成に成功し合成経路を確立できたことで、次年度に繋がる一定の成果を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
大環状ポルフィリン多量体の合成に成功したものの収率が低いため、さらなる改良を図る
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画どおりに予算を使ったが、わずかに繰り越し金が発生した。基金のため、繰り越し金を0円にする調整をしなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に消耗品の購入に使用する。
|