研究実績の概要 |
報告者はタルク(Mgの酸素八面体とSiの酸素四面体が,1:2の層状構造をもつ)を触媒にすると,エタノールから1,3-ブタジエンが高収率(83%, エタノール圧力1atm)で生成することを見出している。この触媒をMg-Siタルクと記す。エタノールを原料としたとき,ブタジエンはアセトアルデヒドを経由して生成する。こうして生成したアセトアルデヒドは,さらに二量化反応によりクロトンアルデヒドに転化,クロチルアルコール経てブタジエンへと転化する。そこでエタノール以外の原料を用いても,エタノールとアセトアルデヒドが反応中に生成することができれば,1,3-ブタジエン生成反応が進行すると考えた。 Mg-Siタルクを用いて,エリスリトール(炭素数4の単糖)を常圧固定床流通系反応装置を用いて反応を行なった。反応400℃,エリスリトール圧0.01 気圧で反応させると,エリスリトール転化率100% で1,3-ブタジエン収率は11%を得た。原料をエリスリトールからマンニトールとソルビトールに替えて,反応を行なった。その結果,マンニトールとソルビトールの転化率が100%のとき,1,3-ブタジエンはそれぞれ10%と8%の収率であった。 現在これまでの結果を基に,Mg-Siタルク以外のタルク,即ちSi以外の構成元素を持つタルクを合成して,その触媒の最大活性を示す最適反応条件の探索,および反応条件が1,3-ブタジエンの収率に及ぼす影響を調べることで,高活性な触媒調製に挑戦している。
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