研究実績の概要 |
ルイス酸の機能を有するイオン液体の開発に関して、ヨードイミダゾリウム塩およびヨードベンズイミダゾリム塩の窒素原子上の置換基を種々検討した。塩が液体として得られることを期待し、長鎖アルキル基(ノルマルドデシル基、アダマンチルメチル基、パラトリフルオロフェニル基など)を導入した。残念ながら、対アニオンがトリフルオロメタンスルホン酸アニオン(OTf-)の場合にはいずれの場合も固体として得られた。次に、対アニオンについて種々検討したところ、ヘキサフルオロリン酸アニオン(PF6-)やヘキサフルオロアンチモン酸アニオン(SbF6)、過塩素酸アニオン(ClO4)などでは固体として得られるのに対し、テトラアリールホウ酸アニオン(BAr4, Ar = bistrifluoromethylphenyl)を非配位性の対アニオンとして利用したところ、ヨードイミダゾリウム塩(2つの窒素原子の置換基はメチル基とノルマルドデシル基)を液体として得ることに成功した。今後、本液体を用いて様々な検討を行う。また、有機合成への応用についても興味深い知見を得ることができた。すなわち、上記で得られた塩が触媒として機能するかどうかについて、種々検討を行ったところ、臭化トリメチルシランを共存させた場合に、アルコールとアリルトリメチルシランとの脱水酸基型のカップリング反応が進行することがわかった。対アニオンとしてSbF6やBAr4を有する塩の場合に、比較的高い触媒活性を示すことがあきらかとなった。
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