• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

サブナノ領域での蛍光炭素ドットのサイズ・組成制御による波長と効率のコントロール

研究課題

研究課題/領域番号 15K13761
研究機関地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター

研究代表者

林 孝星  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部 開発第二部 材料技術グループ, 副主任研究員 (80560151)

研究分担者 渡辺 洋人  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部 開発第二部 材料技術グループ, 副主任研究員 (00500901)
染川 正一  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部 開発第二部 材料技術グループ, 副主任研究員 (20520216)
藤巻 康人  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部 開発第二部 材料技術グループ, 副主任研究員 (70392305)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード蛍光炭素ドット / サブナノサイズ / 多孔質シリカゲル
研究実績の概要

均一な径の炭素ドットを合成するために、細孔径が0.7~2.0 nmのスーパーマイクロ孔領域で制御された多孔質シリカ(SMPS)を利用した。また、最適な炭化温度の議論が行われていないため、最適な炭化温度を決定するために、熱重量・示差熱同時分析装置(TG-DTA)を使用し、最適な炭化温度の見積を行った。
細孔径がd=3.3 nm、濃度0.5 mol/Lのクエン酸水溶液を浸漬させたSMPSのTG-DTA測定を行ったところ、270 ℃、400 ℃および450 ℃過ぎに、発熱終了のピークが観測された。この3点の温度で着目し、TG-DTAを電気炉として使用し炭化を行った。この結果、400 ℃で炭化したものが蛍光量子収率18%(励起波長365 nm)と一番高効率なものが得られた。濃度を0.5 mol/Lで一定のまま細孔径を変えると、細孔径が小さくなるに従い、蛍光量子収率は上昇した。塩を添加することで、24%(添加前)から40%となった。さらに最適化と簡便に合成をするため、電気炉を用いて炭化を行った。TG-DTAの結果を参考に、300 ℃~500 ℃の間で炭化温度の検討を行ったところ、300 ℃であることがわかった。
合成された成分の分析を行うために、細孔内からの取り出しを試みた。アセトンやエタノール、水に浸漬すると、細孔内から成分を抽出できることがわかった。取り出した成分の赤外分光分析を行ったところ、カルボニル基やヒドロキシ基を有する有機化合物であることがわかった。また、ラマン分光分析より、D、Gバンドの散乱が観測された。ここで合成された成分は、共役二重結合を有する化合物の可能性も考えられたが、薄層クロマトグラフィーにより、混合物であることがわかった。分けられた成分の中には、蛍光量子収率が45%を有するものも存在していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目の目標は、蛍光量子収率40%以上の蛍光体を開発する事であったため、本年度で達成することができた。また、合成成分の取り出しが可能であることがわかり、赤外分光分析、ラマン分光分析によってどのような官能基や結合状態を有するものができているのか手掛かりを追うことができた。
合成成分に関して、当初はグラフェンやカーボンナノチューブ、ダイヤモンドのような骨格を有する分子が合成されていると考えていたが、SMPS細孔内から取り出したものを薄層クロマトグラフィーによる分離を行うことで、有機色素のような成分が合成されていることが推測されてきた。
2年目の計画では、S、N、B、Pなどのヘテロ元素を持つ有機化合物を前駆体に、蛍光物質の波長変換を試みる予定であったが、上記の内容から合成された成分の正体がはっきりしない状況である。そのため、合成成分の単離・精製を行い、化学分析による構造決定を行う予定である。

今後の研究の推進方策

前述のように、SMPS細孔内で合成された成分は、グラフェンやカーボンナノチューブ、ダイヤモンドといった炭素材料ではなく、蛍光有機色素のような分子である可能性が明らかになりつつある。次年度に発光波長の変換を行うための実験を予定していたが、合成された成分を単離・精製した後、化学分析を行い化学構造を決定することで、合成成分の正体を解明し、発光メカニズムの解明に向けた研究を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究を遂行するにあたり、前駆体用の試薬購入や、弊所で所有している熱分析装置、絶対PL測定装置用消耗品購入、炭化条件検討用として主に使用した高圧用反応分解装置の購入に物品費を使用した。また、動向調査の学会参加は宿泊を伴わないものが1件であったため、本年度決定額より少なくなった。

次年度使用額の使用計画

次年度は引き続き研究で使用する薬品や、分析・評価装置に使用する消耗品購入費としての使用を計画している。また、弊所で評価できない分析(例えば、ESI-MSなどの質量分析)の外部委託費としての使用も考えている。さらに、本年度で得られた成果をまとめ、論文投稿や学会参加を予定しているため、論文投稿費用や学会参加費として使用を計画している。

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi