研究課題/領域番号 |
15K13767
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
関 志朗 一般財団法人電力中央研究所, その他部局等, その他 (70371325)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 革新電池 / 電解質 / 安全性 / 高性能 / 階層性 |
研究実績の概要 |
近年革新的蓄電池の新しい一形態として期待される電解質の形態として、機能分担の化学に基づく分子階層型固体電解質を提案し、大型化・安全性・高出力・長寿命などを全て達成する革新蓄電池系を実現することを最終的な目的とする。そのステップとして、①分子階層として無機・高分子・イオン液体をそれぞれ最適な場所に配置・デザインすることにより、目的性能の蓄電池系を得る。②作製した分子階層型固体電解質の伝導機構・界面形成の深い理解、セルアッセンブリーを中心とした技術の構築により、本蓄電池系を達成する。即ち、電気化学・材料科学(無機化学・高分子化学・溶液化学)・物理化学等などの垣根を越えた融合領域における新規学理構築の可能性を秘めた研究を行い、実学の観点からも新規革新蓄電池系他、化学エネルギー貯蔵材料への展開が可能なブレイクスルー技術を確立することを最終的な目的とする。 2015年度はA.高性能固体電池実現のための、電解質・電極の詳細物性把握及び計測・評価技術の開発、B.分子階層型固体電解質の作製・評価の2項目を設定し、以下の対応する成果を得た。特に高分子・無機電解質の階層性を利用した高性能の電解質構築を目標とし、初年度の本年は要素研究を中心に、研究を推進した。・高分子固体電解質に関しては、リチウム・ナトリウム・マグネシウム・カルシウムイオン伝導性の電解質を作成・評価し、その熱挙動・伝導機構を明確にした。・無機電解質に関しては、PGSE-NMR法などを用い、粒内・粒界の伝導因子を分けて整理することができるようになった。・解析手法の一つとして、NMRイメージング法の測定原理を構築した。NMRによる伝導の速度を映像として見積ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標に関しての進捗は充分であると判断できるため、(2)概ね順調に進展していると考えられる。当該年度に得られた成果は、2016年度内を目途に学術論文などで成果の公知化を図りたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、分子階層型固体電解質を用いた固体電池の高性能化を実現するため、以下に示す3つの研究項目を設定し、以下の検討を進める。後半1年である平成28年度は電解質・固体電池の最適化及び大型化に向けた検討を行う。分子階層型固体電解質の主要材料となる、無機/高分子固体電解質・イオン液体其々の深い理解とともに、セルアセンブリの技術を活かし、これを実現する試みである。 ①高性能固体電池実現のための、電解質・電極の詳細物性把握及び計測・評価技術の開発:固体電解質への導入Li塩濃度の最適化、及び最適な化学構造の決定。 ②分子階層型固体電解質の作製・評価:Li伝導性・電気化学安定性及びハンドリングに最も優れた固体電解質組成の決定。 ③分子階層型固体電解質を用いた固体電池の作製・評価:最適材料を集約した高性能固体電池の実現、及び特性改善因子の抽出。ラミネートセルによるデモ運転、課題抽出。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に大気圧型グローブボックスを購入し、研究加速を図る方針としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
以下の物品購入などを行い、研究の加速を図る。・大気圧型グローブボックス・露点計・電極微細加工装置
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