ニポウディスク方式共焦点ラマン顕微鏡の試作 ピエゾステージやガルバノミラーの使用によるシングルビーム方式の共焦点顕微鏡と比べて、高速でイメージの取得が可能なニポウディスク方式共焦点レーザスキャナを用いた共焦点ラマン顕微鏡を試作した。共焦点レーザスキャナを正立型顕微鏡(ライカ)のカメラポートに取り付け、光ファイバーを通して励起レーザ光(405、457、513 nm)を導入し、コリメータレンズで平行光線にしてから高速回転するピンホールアレイディスクとマイクロレンズアレイディスクを通過させることで、同時に約1000本のレーザビームを走査した。試料から散乱されたラマン光を同じ対物レンズで集光し、励起光を除去した後に、バンドパスフィルターにより特定の波長のラマン散乱を選択透過させて冷却CCDカメラ(浜松ホトニクス)で検出することによりラマン散乱光像を直接観察した。対物レンズを通してレーザ光束を試料上で高速スキャンすることで、ステージを走査する方式と比較して高速なイメージングが可能になった。さらに、試料を銀蒸着膜または銀マイクロプレートの上に載せて、局在プラズモンによるラマン散乱の増強効果(表面増強ラマン、SERS)を利用することで、単分子膜などの極微量の試料に対してもラマンイメージングを行うことができた。さらに、バンドパスフィルターを交換して透過させるラマン光の波長(C-H伸縮、C=O伸縮バンド等)を変えることで組成分布の解析が可能になった。
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