平成28年度では、強靭な超分子エラストマーを調製するために、水素結合性官能基導入率の異なるABAトリブロック共重合体を合成した。 まず二官能性RAFT剤を用いてポリスチレン(S)を合成した。得られたSポリマーをマクロRAFT剤として、さらにアクリル酸ブチル、アクリルアミドと混合・加熱してランダム共重合することで、ポリスチレン-b-(ポリアクリル酸ブチル-co-ポリアクリルアミド)-b-ポリスチレン(以下S-Ba-Sと記述)を合成した。また、重合時に混合するアクリル酸ブチルモノマーとアクリルアミドモノマーの比率を変化させることでアミド含有率は異なるが全体分子量がほぼ等しいS-Ba-Sを得た。ブロック共重合体の分子量はどれもおよそ11万でアミド含有率は0、11、16、28 mol%であった。0mol%のものでは16倍以上に伸張できたが、応力はほとんど発生しなかった。水素結合性官能基が導入された11mol%のものでは12倍にまで伸長でき、かつ最大応力は3.0 MPaであった(タフネスは19 MJ/m3)。アミド含有率がより大きい16mol%のものでは、11倍までに伸長でき、最大応力は13 MPaまで大きくなった(タフネスは65 MJ/m3)。さらにアミド含有率の大きい28mol%のものでは、最大応力はさらに大きくなり17 MPaであったが、破断伸びは6倍程度にとどまった(タフネスは57 MJ/m3)。適度な水素結合性官能基導入率(20mol%程度)で最大のタフネスを達成した。 上記成果については学会で発表した。また英語論文も発表した。
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