本研究ではウイルスの代表的構造である正二十面体構造を有するRNAファージMS2のキャプシドを合成標的に選択して、その合成を試みた。RNAファージMS2は大腸菌に感染するウイルスで、最も原始的なものに分類される。その構造はウイルスの中でも単純で、外殻のキャプシドは180分子のタンパク質からなる正二十面体構造をとる。本研究ではキャプシドを構成する129残基のアミノ酸からなるタンパク質の合成を検討し、三つのフラグメントの連結を想定し、これらの固相合成に成功した。また、フラビウイルス属のウイルスのキャプシドタンパク質の合成法を確立し、ssDNAの添加によりキャプシドが形成することを確認した。
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