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2016 年度 実績報告書

セルロースナノファイバーを用いた革新的ポリエチレン結晶構造制御

研究課題

研究課題/領域番号 15K13787
研究機関京都大学

研究代表者

矢野 浩之  京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80192392)

研究分担者 阿部 賢太郎  京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20402935)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードセルロースナノファイバー / シシケバブ / HDPE / 射出成形 / 溶融粘度 / 弾性率 / 表面化学修飾
研究実績の概要

セルロースナノファイバー(CNF)はすべての植物細胞の基本骨格物資である。細胞壁中では幅15nmの伸び切り鎖微結晶からなるナノ繊維として存在し、鋼鉄の1/5の軽さで、鋼鉄の2/3の弾性率、5倍以上の強度により植物体を支えている。近年、化学変性CNFでHDPEを強化し射出成形すると、射出方向にCNFが配向し、CNF間にPEの伸び切り鎖結晶が多数形成されることが発見された(CNFとPE伸び切り鎖結晶をシシとするダブル・シシケバブ構造)。本研究では、CNFの調整・化学変性・樹脂複合化に関する技術を、” PE伸び切り鎖結晶(シシ)を大量に形成する革新的結晶構造制御技術の開発“に特化して進め、PEの大幅な強度特性向上を目指した。
長さの異なる直鎖状脂肪族、環状脂肪族をセルロースナノファイバー表面のみに選択的に導入し、二軸押出機によりHDPEと溶融混練後、異なる温度で射出成形を行い、得られた成形体についてTEM画像解析によりシシケバブ構造の観察を行った。
溶融時のせん断弾性率が高い変成CNFほどダブルシシケバブ構造の形成が明確であった。特に、ピバロイル化CNFにおいて、HDPE樹脂中での分散性が悪いにもかかわらず、高い密度でHDPEシシの形成が観察された。ピバロイル化CNFは複合材料の引張弾性率において高い補強性を示すことから、HDPEシシの形成が成形体の弾性率向上に貢献していることが明らかになった。未処理CNF、アセチル化CNF、シクロヘキサンカルボニル化CNF、ミリストイル化CNF等の異なる化学構造を有する変性CNFとの比較より、セルロースナノファイバーの表面化学修飾はHDPEなど結晶性ポリマーにおける結晶構造を積極的に制御できる新たな手法であるといえる。

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公開日: 2018-01-16  

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